ミン・ヒジン元代表の「代表再選任」仮処分申請却下...
「請求自体が不適切」
ソウル中央地方裁判所は10月29日、元ADOR(All Doors One Room)代表のミン・ヒジン氏がHYBEを相手取って申し立てた「代表取締役再選任」仮処分を却下した。
裁判所は、ミン氏の申請が法的要件を満たしていないと判断した。
民事合議50部のキム・サンフン裁判長は、株主間契約に明示された代表取締役職5年保証条項について、「仮処分が認められても、取締役がそれに従う法的義務がないため、申請に利益がない」と判断した。
裁判所は決定文で、「取締役は商法・民法上の善管注意義務と忠実義務に従って独立して賛否を判断・決定しなければならない」と述べ、「HYBEの指示に従う法的義務は負わない」とした。
また、裁判所は株主が取締役に対して議決権の行使を指示する「プロキュア」条項についても「商法の基本原則に反する点があり、仮処分を通じて判断するのは難しい」と説明した。
この決定により、ミン氏のADOR内での立場はさらに厳しくなる見通しだ。
裁判所が「条項の債権的効力を認めても、条項の内容を強制的に履行することを求める請求が可能である根拠を見つけるのは難しい」と判断したため、今後類似の仮処分申請も困難になるとみられる。
HYBEは公式声明を通じ、「裁判所の賢明な判断に感謝する」と述べ、「今回の決定を契機にADORの正常化、マルチレーベルの高度化、アーティスト活動の支援に最善を尽くす」とした。
一方、ミン氏側は「今回の却下決定は株主間契約の有効性に関するものではなく、プロキュア条項の効力に関する法的理由によるもの」とし、「株主間契約に基づき2026年11月1日までの代表取締役の任期が保証されるべき」と主張した。
今回の紛争は、8月27日のADOR取締役会によるミン氏の解任決定が発端だった。
当時取締役会は制作と経営の分離がADORの利益とマルチレーベルの原則に合致するとして解任を決定し、HYBEの人事責任者キム・ジュヨン氏を新代表に任命した。
法律専門家は今回の決定がHYBEとミン氏間の争いの分水嶺になるとみている。
ある弁護士は、「今回の決定によりミン氏の法的対応に大きな制約が生じる」と述べ、今後の紛争は本訴訟を通じて扱われる可能性が高いと予測している。
エンターテインメント業界関係者は、今回の事態がK-POP産業の支配構造や経営手法に関する新たな議論を引き起こすと予想している。
特に、大手エンターテインメント企業のマルチレーベル体制の運営に関する制度的補完の必要性が提起されるとみられる。